営業の商談で、
こんな場面は珍しくない。
質問を投げる。
顧客が少し黙る。
数秒の沈黙が流れる。
その瞬間、営業が口を開く。
「補足するとですね…」
「もう少し分かりやすく言うと…」
「つまり○○ということですよね」
──そして、売れない。
多くの営業は
「顧客が答えないから仕方ない」
と思っている。
だが、真実は逆だ。
営業が“待てない”から、
顧客が答えなくなっている。
- 顧客の答えは「すぐ出てくるもの」ではない
- それでも営業は待てない
- 理由① 沈黙=失敗だと刷り込まれている
- 沈黙は失敗ではない
- 理由② 「役に立っていない」と感じてしまう
- だが、それが一番の邪魔
- 理由③ 顧客を信じきれていない
- 信じていない相手から、信頼は得られない
- 理由④ 主導権を手放すのが怖い
- だが、問いを投げた時点で主導権は渡している
- 理由⑤ 沈黙に耐える訓練をしていない
- トップ営業は「待つ訓練」をしている
- 顧客の答えを待てない営業に起きていること
- 本音は「間」を越えた先に出てくる
- トップ営業は「答えが遅いこと」を歓迎する
- 顧客の答えを待てる営業がやっていること
- 待てる営業は、余裕があるように見える
- 待てない営業ほど、売ろうとしている
- 顧客は「急かされている」と感じた瞬間に心を閉じる
- 顧客の答えを待つとは、営業が楽をすることではない
- 待てる営業は、顧客の“思考の速度”に合わせている
- まとめ
顧客の答えは「すぐ出てくるもの」ではない
考える時間を奪っている事実
顧客は今、
自分の頭の中を探っている。
・言語化できていない感情
・整理されていない課題
・初めて向き合う問い
それを、
数秒で言葉にできるわけがない。
それでも営業は待てない
なぜか
それは、
顧客の問題ではなく、
営業自身の問題だからだ。
理由① 沈黙=失敗だと刷り込まれている
営業は「話し続ける仕事」だと思っている
多くの営業は、
・場を回す
・間を持たせる
・止めない
ことが仕事だと教えられてきた。
だから沈黙が出ると、
「自分が何かミスした」
「場が白けている」
と錯覚する。
沈黙は失敗ではない
思考が起きているサイン
沈黙は、
・考えている
・整理している
・本音を探している
という健全な状態だ。
だが営業は、
その沈黙を「事故」だと思い込んでいる。
理由② 「役に立っていない」と感じてしまう
営業の自己存在証明欲
黙って待っていると、
「自分、何もしてないな」
「価値出せてないな」
と不安になる。
だから、
・説明する
・補足する
・まとめる
という行動で
“仕事している感”を出そうとする。
だが、それが一番の邪魔
顧客の思考に割り込んでいる
顧客は今、
自分の内側を掘っている。
そこに営業の言葉が入ると、
・思考が止まる
・聞く側に戻る
・正解探しになる
商談の質が、一段落ちる。
理由③ 顧客を信じきれていない
「この人、答えられないかも」という前提
営業の無意識には、
「難しすぎたかな」
「考えられないかも」
「俺が導かないと」
という前提がある。
これは一見、
親切に見える。
だが実態は、
顧客を下に見ている状態だ。
信じていない相手から、信頼は得られない
待つ=尊重
顧客を信じていれば、
・考える時間を渡す
・言葉が出るまで待つ
・途中で口を挟まない
この姿勢が自然に出る。
理由④ 主導権を手放すのが怖い
営業がコントロールしたがる
沈黙が続くと、
「流れが分からなくなる」
「どこに向かうか不安」
と感じる。
だから営業は、
会話を取り戻そうとする。
だが、問いを投げた時点で主導権は渡している
奪い返すから失注する
問いとは、
「あなたの考えを聞かせてください」
という宣言だ。
その直後に喋るのは、
主導権を奪い返す行為。
理由⑤ 沈黙に耐える訓練をしていない
単純に、慣れていない
沈黙に耐えるのは、
スキルではなく耐性だ。
ほとんどの営業は、
・沈黙を避ける
・早く埋める
・経験しない
結果、
一生慣れない。
トップ営業は「待つ訓練」をしている
何もしない時間を積極的に作る
・質問したら10秒黙る
・相槌だけで止める
・手元のメモを見る
意識的に、
自分を止めている。
顧客の答えを待てない営業に起きていること
表面的な会話しか残らない
・無難な回答
・建前の意見
・その場しのぎの言葉
本音は、
沈黙の奥にある。
本音は「間」を越えた先に出てくる
すぐ出る答えは、準備された答え
考えずに出てくる言葉は、
・いつもの答え
・安全な表現
・本心ではない可能性
待った先に出る言葉だけが、
掘り当てた言葉だ。
トップ営業は「答えが遅いこと」を歓迎する
遅い=深い
・言い直す
・言葉を探す
・途中で止まる
このプロセス自体が、
価値だと知っている。
顧客の答えを待てる営業がやっていること
① 身体を動かさない
・身を乗り出さない
・口を開かない
・ペンを止める
物理的に、
介入しない。
② 相槌を最小限にする
「はい」
「そうなんですね」
それ以上、足さない。
③ 視線を外す
見つめすぎると、
顧客は焦る。
少し視線を外すことで、
考えやすい空気を作る。
待てる営業は、余裕があるように見える
それが信頼になる
・急かさない
・焦らない
・答えを奪わない
この姿勢そのものが、
「この人、売りに来てないな」
という安心感を生む。
待てない営業ほど、売ろうとしている
皮肉な構造
早く答えを出させたい
→ 早く結論に行きたい
→ 早く売りたい
この焦りが、
顧客に伝わる。
顧客は「急かされている」と感じた瞬間に心を閉じる
言葉は続いても、本音は止まる
会話は進んでいるようで、
実は後退している。
顧客の答えを待つとは、営業が楽をすることではない
一番しんどい選択
・不安に耐える
・沈黙に耐える
・結果を委ねる
だからこそ、
差がつく。
待てる営業は、顧客の“思考の速度”に合わせている
合わせるべきは、話す速さではない
合わせるべきは、
考える速さだ。
まとめ
営業が
「顧客の答えを待てない」本当の理由は、
・沈黙を失敗だと思っている
・役に立っていないと不安になる
・顧客を信じきれていない
・主導権を手放せない
・慣れていない
このすべてが、
営業側の問題だ。
顧客は、
考える力を持っている。
答えは、
沈黙の向こう側にある。
売れる営業ほど、
その沈黙を壊さない。
次に口を開くのは、
顧客の番だ。

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