営業では昔から「共感が大事」と言われてきた。
相手の立場に立ち、気持ちを理解し、寄り添うこと。
確かにこれは間違っていない。
しかし現場では、
共感している営業ほど売れないという現象が起きている。
優しい。感じがいい。話しやすい。
それでも決まらない。
なぜか。
共感の使い方を間違えているからだ。
共感が営業にとって危険になる瞬間
共感が目的化している
売れない営業の共感は、こうなっている。
・相手の話を肯定する
・不満に同調する
・気持ちを受け止めて終わる
ここで営業自身が満足してしまう。
「いい関係は作れた」
「信頼は得られたはず」
だが、商談は一切前に進んでいない。
共感は“止まる力”が強い
共感には、人を安心させる力がある。
同時に、動かなくさせる力もある。
「分かってもらえた」
この時点で、顧客の感情は落ち着く。
しかし、
決断に必要な緊張感まで消えてしまう。
なぜ共感すると信頼されそうで、実はされないのか
共感しすぎる営業は“同じ目線”に降りる
過度な共感は、
営業自身を顧客と同じ立場に引きずり下ろす。
・私も同じ経験あります
・それ、つらいですよね
・本当に大変ですよね
この瞬間、
営業は「相談相手」にはなるが、
「判断を任せる相手」ではなくなる。
信頼とは「任せられること」
顧客が本当に求めている信頼は、
共感ではない。
「この人に任せても大丈夫か」
「この人の視点は信用できるか」
共感だけの営業は、
この問いに答えられていない。
共感が強すぎると決断できなくなる理由
顧客の迷いを肯定してしまう
「迷いますよね」
「悩みますよね」
これは一見、優しい言葉だ。
だが、これを繰り返すとどうなるか。
顧客は、
「迷っていていいんだ」
と安心してしまう。
迷いが正当化され、
決断の期限が消える。
営業がブレーキ役になる
本来、営業は
意思決定を前に進める存在だ。
だが共感しすぎると、
営業自身がブレーキになる。
売れる営業は共感の「使い所」を知っている
共感は入口でしか使わない
売れる営業は、
共感を長く使わない。
・最初に一度受け止める
・感情を言語化する
・すぐ整理フェーズに入る
共感は、
話を進めるための“許可取り”に近い。
共感の次に必ず「整理」が入る
「それは大変でしたね」
で終わらせない。
「だからこそ、今一番困っているのは◯◯ですよね」
ここで初めて、
共感が価値を持つ。
共感と迎合はまったく別物
迎合すると営業の軸が消える
・お客様の言う通り
・否定しない
・反論しない
これは共感ではない。迎合だ。
迎合した瞬間、
営業の専門性は消える。
軸のない共感は不安を生む
顧客は無意識にこう感じる。
「この人、私の意見に流されてない?」
「ちゃんと考えてる?」
これが、
共感しているのに信頼されない正体だ。
共感しすぎる営業の思考パターン
嫌われたくない
共感過多の根っこには、
「嫌われたくない」がある。
・否定したくない
・空気を壊したくない
・関係を悪くしたくない
だが営業は、
好かれる仕事ではない。
決断を支える仕事だ。
正論を言う勇気がない
本当はこう思っている。
「その考え方だと、決められないな」
「そこがズレてるな」
でも言えない。
その結果、共感で逃げる。
売れる営業の共感は“一段上”
感情を受け止め、視点を上げる
売れる営業は、
感情に共感したあと、必ず視点を上げる。
「そう感じるのは自然です」
「ただ、長期で見ると◯◯というリスクもあります」
この一段上の視点が、
信頼を生む。
共感しながら方向づける
共感と方向づけは、
同時にできる。
むしろ、
一緒にやらなければ意味がない。
共感が機能しているサイン
顧客がこう言い始めたら、
共感は正しく使えている。
「確かに、そこは考えてなかった」
「そういう見方もありますね」
ここで初めて、
顧客の思考が動いている。
共感を減らすために今日できること
共感フレーズを一度だけ使う
同じ共感を繰り返さない。
一度受け止めたら、次へ進む。
共感の後に必ず問いを置く
「それについて、どうしたいと思ってますか?」
共感 → 問い
この流れを癖にする。
共感は目的ではなく“道具”
営業において、
共感はゴールではない。
意思決定を前に進めるための道具だ。
使いすぎれば、
前に進めなくなる。
まとめ
営業が売れない理由は、
共感が足りないからではない。
共感しすぎて、止めてしまっているからだ。
・共感は短く
・整理は深く
・視点は一段上へ
この使い方ができたとき、
共感は初めて
「売れる技術」に変わる。

コメント